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行政書士法人Aimパートナーズ
募集株式の発行等について③

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。
今回は、募集株式の出資に係る責任について、ご説明をいたします。
[目次]

○募集株式の出資に係る責任
①差額填補責任
不公正な払込金額で募集株式を引き受けた者等は、会社法で定められた責任額につき、株式会社に対して責任を負わなければなりません。
<第212条>
募集株式の引受人は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める額を支払う義務を負う。
一 取締役(指名委員会等設置会社にあっては、取締役又は執行役)と通じて著しく不公正な払込金額で募集株式を引き受けた場合 当該払込金額と当該募集株式の公正な価額との差額に相当する金額
二 第二百九条第一項の規定により募集株式の株主となった時におけるその給付した現物出資財産の価額がこれについて定められた第百九十九条第一項第三号の価額に著しく不足する場合 当該不足額
2 前項第二号に掲げる場合において、現物出資財産を給付した募集株式の引受人が当該現物出資財産の価額がこれについて定められた第百九十九条第一項第三号の価額に著しく不足することにつき善意でかつ重大な過失がないときは、募集株式の引受けの申込み又は第二百五条第一項の契約に係る意思表示を取り消すことができる。
いずれも十分な 出資の履行がなされていないことにより既存株主の経済的利益が害される場合であり、その不利益を回復する為に認められるものです。
差額填補責任の責任額は、取締役又は執行役と通じて著しく不公正な(安い)払込金額で募集株式を引き受けた場合は、公正な価格との差額であり、現物出資財産の価格が募集事項として定められた価格に著しく不足する場合は、その不足分です。
引受人が著しく不足することについて、善意(知らなかった場合)であり、かつ、重過失がないときは、出資の取消しが認められます。
②仮装出資の場合の責任
出資の履行を仮装した募集株式の引受人は、責任として、株式会社に対し、会社法で定める行為をする義務を負います。
<第213条の2>
募集株式の引受人は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める行為をする義務を負う。
一 第二百八条第一項の規定による払込みを仮装した場合 払込みを仮装した払込金額の全額の支払
二 第二百八条第二項の規定による給付を仮装した場合 給付を仮装した現物出資財産の給付(株式会社が当該給付に代えて当該現物出資財産の価額に相当する金銭の支払を請求した場合にあっては、当該金銭の全額の支払)
2 前項の規定により募集株式の引受人の負う義務は、総株主の同意がなければ、免除することができない。
募集株式に係る金銭の払込み又は現物出資財産の給付を仮装した募集株式の引受人は、会社に対して、仮装した払込金額の全額の支払い又は仮装した現物出資財産の給付(会社が給付に代えて財産の価額に相当する金銭の支払いを請求した場合は、その全額の支払い)をしなければなりません。
これは、無過失責任(故意・過失がない場合も、負わなければならない責任)であり、免除する為には、総株主の同意が必要です。
○さいごに
いかがでしたでしょうか。
現物出資に関しては、検査役の調査を受けた場合や、無過失を立証した場合を除き、取締役等や現物出資を証明した者も、連帯して不足額支払義務を負うことになります。
また、出資の履行を仮装することに関与した取締役等についても、募集株式の引受人と同様の責任を負うことになりますが、無過失を立証した場合には責任を免れることができます。
ただし、その場合でも出資の履行を仮装した者については無過失責任となる点にご注意ください。
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