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株式会社の定款

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。
今回は、株式会社の定款についてご説明いたします。
[目次]

○株式会社の定款
定款とは、会社の組織・活動に関する根本規則、又は当該規則を記載した書面若しくは電磁的記録のことです。
前回の記事でご説明したように、会社の設立手続きにおいて、最初に行うことが発起人による定款の作成です。
定款は、公証人の認証を受けなければ効力を生じず、会社設立時に作成する一番初めの定款であり、公証人の認証を受ける対象となる定款のことを「原始定款」と呼びます 。
公証人とは、当事者その他の関係人の嘱託に応じ、民事に関する公正証書を作成し、私署証書や定款に認証を与える権限を有する公務員のことをいい、法務大臣が任命し、その指定した法務局又は地方法務局に所属しています。
公証人による認証が要求されるのは、定款が真正に作成され、内容が適法であることを確保することで不正を防止し、後日の紛争を予防する為です。
会社設立後に、本店所在地や事業目的の変更などにより、原始定款から内容を変更することがありますが、原始定款自体には変更を加えることはできません。
株主総会等の決議を経て変更を加えることを「定款の変更」といい、変更を加えられた定款は「現行定款」と呼ばれます。
会社成立後の定款変更については、設立時とは異なり、公証人の認証は要求されません。
○定款の記載事項
定款の内容には、以下の3つの記載事項があります。
①絶対的記載事項
定款に必ず記載が必要な事項のことであり、記載を欠いたり、その記載が違法であるときは、定款全体が無効となります。
絶対的記載事項には、以下の6つの事項が定められています。
⑴会社の目的
⑵商号
⑶本店の所在地
⑷設立に際して出資される財産の価格又はその最低額
⑸発起人の氏名又は名称及び住所
⑹発行可能株式総数
上記⑴~⑸は、定款の認証に先立ち定めておく必要がありますが、⑹については、定款の認証時には必ずしも必要ではなく、発起人全員の同意によって株式会社が設立するまでに定款を変更して定めてあれば良いとされており、更に募集設立の場合には、設立時募集株式についての払込期日又は払込期限の初日以後は、創立総会の決議によって定款を変更して定めれば良いとされています。
また、設立時発行可能株式総数は、公開会社(一部でも譲渡制限のない株式がある会社)である場合、発行可能株式総数(株式会社が発行することができる株式の総数)の4分の1を下回ることはできず、「4倍ルール」と呼ばれています。
例えば、発行可能株式総数が1000株である公開会社においては、最低でも250株の設立時発行株式が必要ということになります。
この4倍ルー ルは、公開会社において取締役が過度に大きな募集新株発行権限を持つことを防止する為に設けられています。
②相対的記載事項
定款に記載しなくても、定款自体の効力は有効であるが、定款で定めないと効力が認められない事項のことをいいます。
相対的記載事項としては、以下のものが挙げられます。
⑴変態設立事項
ⅰ)金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である 場合にあっては、設立時発行株式の種類及び種類ごとの数)
ⅱ)株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称
ⅲ)株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称
ⅳ)株式会社の負担する設立に関する費用(定款の認証の手数料その他株式会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定めるものを除く)
これらは会社の財産的基礎を害する危険性が高い為、発起人は原則として、公証人の認証後遅滞なく、当該事項を調査させる為、裁判所に対し検査役の選任の申し立てをしなければなりません。
その結果、変態設立事項が不当であるときは、裁判所はこれを変更しなければならず、募集設立の場合は更に創立総会もこれを変更することができます。
⑵公告の方法
公告の方法には以下の3つの方法があります。
ⅰ)官報
ⅱ)新聞(時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙)
ⅲ)電子公告
会社は上記いずれの方法を用いるかについて、定款で定めることが可能であり、定款に定めを置かない会社では、官報に掲載する方法が公告方法となります。
③任意的記載事項
定款に記載しなくても、定款自体の効力は有効であり、定款外で定めても効力が認められる事項のことをいいます。
任意的記載事項としては、株主総会の議長や定時株主総会招集の時期などが挙げられます。
任意的記載事項は、定款外で定めても効力はありますが、定款で定めることでより明確となり、定款変更によらない限り変更することができなくなるという効果があります。
○さいごに
いかがでしたでしょうか。
相対的記載事項の変態設立事項である、現物出資については、設立時においては発起人にのみ認められており、発起人以外が現物出資することはできない点にも注意が必要です。
また、裁判所に対する検査役の選任の申立ては原則必要ですが、現物出資等の価格総額が500万円を超えない場合や、定款に記載・記録された価格が相当であることについて、弁護士や公認会計士、税理士等の証明を受けた場合には不要となる点についても確認が必要となります。(会社法第33条第10項各号)
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